自然とつながる

小満

小満・二十四節氣

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小満(しょうまん)5月20日~6月4日頃

陽ざしを浴びて大地の生命が最も輝きを見せてくれる頃。草木も花々も虫も最盛期を迎えていきます。このころは麦の収穫期となります。

この時期の自然の営みとくらし

初夏の気持ちのよい五月晴れが続く中、草花は勢いを増して成長し、輝きを放っています。空は鳥が飛び交い、ひな鳥たちに餌を運び、虫たちも活発に大地を這っています。生命にとって最も活動的となる季節を迎えました。

このころは旧暦では4月頃で木の葉採り月という別名で呼ばれていました。蚕(かいこ)の餌となる桑の葉を摘む頃という意味があったそう。蚕が桑の葉をむしゃむしゃと食べる大桑の時期に入ります。

蚕は美しい絹糸の原料となる繭(まゆ)をつくります。戦前は桑畑が広がる光景が日本の代表的な風景の一つでした。山に自生する桑はヤマグワと呼ばれ、これからキイチゴのような甘酸っぱい果実を実らせます。

植物たちの成長期には虫による食害もつきもの。そんな中、アブラムシやうどん粉病の菌を食べてくれる貴重な益虫であるテントウムシがよく見られるようになります。幸運を呼ぶというジンクスもあるテントウムシが初夏の季節を彩りながら、作物の成長を助けてくれています。

田植えも間近で、水が張られた水田が広がりを見せる月の夜に、水面に月が映し出されている光景を田毎の月(たごとのつき)と呼ぶのだそう。この季節を情緒深く味わおうとした昔の人の感性には心がふるわされます。月夜の田園を散歩しながら田毎の月を観賞するのも楽しみのひとつとなりそうです。

紅の染料となる紅花が開花期を迎えます。現在は希少となった紅花畑ですが、関東の一部(埼玉)や東北地方(山形)に残る紅花畑では一面に咲き誇る姿が広がっていきます。紅花摘みの体験イベントなどはもう少し先の6月下旬から7月中旬頃に行われることが多いようです。

6月1に冬服から夏服に衣替えする時期を迎えますが、地域によって前後するようです。道行く人の装いの変化に、夏も本格化してくるのを感じます。

麦が実りの季節を迎え、収穫時期となります。一面に広がる黄金色の麦畑もこの季節を彩る風物詩です。麦嵐や麦の秋風と呼ばれる、風が穂を揺らしながら麦畑を吹き抜けていく様に風情を感じることでしょう。

風物詩

潮干狩り、黄金色の麦畑、桑の実(マルベリー)

七十二候

蚕起きて桑を食う(かいこおきてくわをくう)5月21~5月25日頃

桑の葉に蚕がついて葉を食べ始める頃。絹糸の原料となる繭を紡ぎだします。

紅花栄う(べにばなさかう)5月26日~5月30日頃

紅花が美しく咲き誇る頃。花摘みも日本の暮らしを彩る営みの代表。紅花染めや口紅作りなどに使われます。

麦秋至る(ばくしゅういたる)(5月31日~6月5日頃)

麦が実りの最盛期を迎え、収穫となる頃。秋ではないですが、麦にとっての収穫を「秋」と表現して麦秋と名づけられたそう。梅雨が始まると麦が干せないので、収穫期は短く農家は大忙しです。

旬の恵みや草花

そらまめ

食べ応えのある大きな豆で、旬は4月~6月。桜が咲いてから2か月後が一番美味しいそら豆が収穫できるのだそう。豆板醤の原料としても知られています。 塩茹でや、さやごと焼いて中のマメを頂きます。揚げて塩をふればいかり豆に。スープや煮物に入れても美味です。

しそ

初夏から盛り夏にかけて紫蘇の旬を迎えます。この季節の貴重な薬草。薬味としてはもちろん、、天ぷらに、ごはんに混ぜ込んで紫蘇ご飯などなど。これから暑くなる季節に向けて夏バテや食中毒予防としても出番の多くなる食材です。また、赤紫蘇は旬が短く6月~8月にしか出回らないとされています。赤紫蘇のジュースは日本の夏の風物詩です。

びわ

日本では四国、九州に自生する果樹です。旬は5月~7月初旬。大薬王樹(だいやくおうじゅ)と呼ばれ、昔から民間療薬として親しまれてきました。免疫力を高める効果が期待され、葉は乾燥させてビワ茶や入浴に用いたりします。種子は枇杷核(びわかく)とよばれる生薬となり、がん予防にもなるとか。果肉は甘く、生食をはじめ、ジャムや果実酒などにして楽しめます。

この時期の行事

三社祭(さんじゃまつり)

5月の第3金曜日から日曜までの期間に、東京浅草で行われる日本を代表する祭礼。初日は、浅草芸者や田楽、手古舞、白鷺の舞などで構成された大行列が見もの。二日目には、「例大祭式典」が行われ、最終日は、浅草神社にある3基のお神輿が担ぎ出されます。期間中は180万人の人出で賑わい、町全体がお祭一色となります。東京の初夏の風物詩です。