春分(しゅんぶん)3月20日~4月3日頃
昼と夜の長さが等しくなる春真っただ中の頃。太陽は真東から上り、真西に沈みます。春分を中日に前後3日を含めた7日間が春のお彼岸となります。
この時期の自然の営みとくらし
夜間の寒さもおさまり、風もさわやかに感じられるようになってくる頃です。昼はもっとも過ごしやすく飽きない春を堪能できます。春の自然を散策しに出かける頻度も多くなりそうです。
春のお彼岸を迎え、ご先祖様に会いにお墓参りをする時期です。ぼたもちをお供えして私たちも一緒に美味しくいただきます。
道端にはたんぽぽが至るところに力強く咲いています。春だけに咲くたんぽぽは日本在来種のみ。タンポポの花を摘んでタンポポ茶にしたりサラダに散らしたり春を堪能するのもよいですね。
深まる春の陽気の中、聞こえてくるさえずりの正体はひばり。雀よりも少し大きくどこかスマートな趣の春の鳥。春の風物詩として親しまれ、様々な歌に詠まれています。冠羽を立てた姿は鶏のトサカを彷彿とさせるところもユニークです。長い時間さえずりながら低い空を飛んでいたり、草や石の上などに止まりながら鳴いている姿に出くわすことがあるでしょう。
春真っただ中で桜も一斉に開花したかと思えばあっという間に満開に、そして散っていきます。月夜の散歩やお花見にも心地よい気候です。塩漬けの桜の葉で包まれた桜餅も春の味覚のひとつ。春を贅沢に楽しめる和菓子として、ほのかな香りを味わいながら春を満喫します。
桜と言えばソメイヨシノという品種が定番ですが、江戸時代に誕生した新しい桜と言われており、日本古来から楽しまれていた桜は山桜と呼ばれる品種です。山合いに多く自生する日本固有種で、一重咲きで赤みの濃い桃色の花が特徴です。吉野山の山桜が名所となっています。
春の雷を春雷(しゅんらい)と呼んで夏とはまた違った自然の機微を味わうのが日本の春です。冬には止んでいた雷が鳴り始めると本格的に大地に春が訪れたことを感じさせます。春に始めてなる雷を「初雷」や冬ごもりの虫を起こす「虫出しの雷」と呼んだりもするそう。
桜と入れ替わるように木蓮(もくれん)が開花する時期が訪れます。白木蓮や紫木蓮などの品種がみられ、白や紫色の花が天に向かって大きく花びらを開くのが印象的な花。上品な芳香を漂わせながら咲誇る光景に春の深まりをしみじみと感じさせてくれます。
風物詩
たんぽぽ、桜、桜餅、ひばり、ぼたもち
七十二候
雀初めて巣くう(すずめはじめてすくう)3月21日~3月25日頃
雀が枯れ草を集めて巣を作りだす頃です。家屋にも巣を作るので、軒下や瓦の隙間に巣を見つけることもあるでしょう。
桜始めて開く(さくらはじめてひらく)3月26日~3月30日頃
桜の花が開花し始める頃。春の象徴的な存在で、古来より桜を読んだ歌は数知れずです。少し寒さが残るくらいの方が長い期間、桜が楽しめます。
雷乃声を発す(かみなりこえをはっす)3月31日~4月4日頃
春の訪れとともに雷もなり始める頃です。雷は冬の間はほとんど起こらないので、大地に春を告げて恵みの雨を招き寄せます。
旬の恵みや草花
こぶし
早春に、他の木々に先駆けて白い花を梢いっぱいに咲かせる落葉広葉樹です。モクレンとは仲間で実際、よく似ています。桜より早く開花するのがこぶしでモクレンは開花期は葉がなくなるのに対してこぶしは葉があります。花がいろいろな方向に向いて咲くのもこぶしの特徴。
別名「田うちざくら」とよばれ、こぶしの開花は稲の種まきや田打ちなどの農作業を始める目安とされていたのだそう。
蕗(ふき)
早春に楽しませてくれた蕗の薹から成長した葉柄のこと。旬は4月~6月で、日本古来の野菜に数えられます。全国の山野に自生しますが、主に食用とされるのは愛知県産の早生蕗です。ほろにがさと大地の風味が感じられる独特な野菜。あく抜をして茹で、佃煮や炒め物にする。塩漬けにして一年中使える保存野菜としも日本の伝統的な暮らしの中にありました。
アスパラガス
春から初夏にかけてが旬で、これからが甘みが増す美味しい季節です。疲労回復を促すアスパラギン酸が多く含まれ、強壮効果も期待できます。そのままシンプルに焼いたり天ぷらにして、お塩で頂くのも美味。グラタンに入れたり、パスタの具にしたり、ピクルスにしたり、楽しみ方いろいろです。
うど
3月~4月が旬の山菜です。春の山菜狩りの主要メンバー。まだ柔らかい葉先は天ぷらが絶品です。東京原産の軟化ウドは江戸時代から栽培されている伝統野菜です。わらびやゼンマイなどと一緒にうどんの具にしたり、ウド味噌、酢味噌和え、きんぴらなどに。