センテッドゼラニウムの概要
学名 | Pelargonium odorantissimum |
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科名 | フクロソウ科 |
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和名 | ニオイテンジクアオイ(匂い天竺葵) |
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別名 | ニオイゼラニウム、ローズゼラニウム |
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花言葉 | 「育ちの良さ」、「尊敬」 |
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開花期 | 5月~9月 |
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使用部位 | 葉・花 |
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原産地 | 南アフリカ |
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草丈 | 30cm~100cm |
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黄緑色の羽状に切り込みのあるしっかりとした葉が特徴的で、可愛らしい桃色の花を咲かせ、観賞用にも人気のハーブです。
代表的なのはローズゼラニウムで正にローズのような甘く優しいフローラル系の芳香を放ちます。 香水の原料にも使われてきた歴史を持ち、その芳香は心身のバランスを整えてくれるようなヒーリング効果があるとされています。
精油も一般的に広く流通し、使いやすい香りが人気です。香りも楽しめて観賞性も高く丈夫なので観葉植物としてお部屋で育てるにも適しています。
センテッドゼラニウムの種類
白、桃、赤、紫、黄と品種によって多種多様な花色を示します。ゼラニウムは交雑しやすく品種も多様で、その中でも香りが素晴らしい品種があります。それらを総称し、ハーブとしてはセンテッド(香りのある)ゼラニウムと呼ばれて流通します。
虫よけ対策として、より効果を高めた園芸品種であるカレンソウも同じくゼラニウムで、夏場の園芸店ではよくみかけるハーブのひとつです。
代表的なローズゼラニウムをはじめ、ミント、シナモンやナツメグのようなスパイス、アップルやレモンなどのフルーツ系、他にもアーモンドなどなど香りもユニークです。
スノーフレークゼラニウムと呼ばれるのは、葉の表面に雪が舞っているような白い斑が入る品種。 ペパーミントゼラニウムはミントの香りを持ち、半ほふく性で横に広がるように生長するのでハンギングやグランドカバーにしても素敵です。
他にも品種によって葉の形が様々で愛らしいものが多数あり、発見するとついついコレクションしたくなるような多様性が魅力です。
センテッドゼラニウムの主な薬効作用
防虫、ホルモン分泌調整、緩和、抗菌、抗酸化、収斂、強壮、鎮静
センテッドゼラニウムの適用症状
生理痛、生理前症候群、心身の緊張
センテッドゼラニウムの使い方の参考
フレッシュでもドライでも香りが残るのでアイディア次第です。ドライにすると少し甘い香りに変化します。芳香のバランス調整作用やヒーリング効果を目的とした使い方をしましょう。
料理に
香りづけに主に利用します。生の葉をたたいてゼリーや、ティーなどにほんのりと香りを映したり、はちみつなどにも香りづけできます。香りが移ったらすぐに取り出すようにしましょう。花もエディブルフラワーとして食べられるので、ケーキやお菓子の飾りつけにも使えます。
バスタイム
フレッシュでもドライハーブでも岩塩と混ぜてバスソルトにして入浴剤を作ったり、そのままお風呂に浮かべて芳香浴を楽しめます。石鹸づくりにも。スキンケアにも相性ばっちりの薬効作用です。
クラフト
ドライにしたハーブをサシェ(匂い袋)にして防虫対策をしたり、枕に忍ばせてリラックス効果を高めた眠りもサポート。ポプリなどにも。
その他
観葉植物としてお部屋に置くと香りが広がります。蚊よけ対策として忌避効果も。
センテッドゼラニウムの育て方と収穫
https://linobase.org/herbswitharoma_category/herbofupbringing
好む環境
地中海性気候を好む性質で、比較的乾燥気味が好き。高温多湿は苦手だが、耐暑性はある方で日本の夏でも平気で乗り切る強さもある。
種蒔き&育苗
種からの栽培は一般的ではなく苗からが主流。種からの栽培の場合時間がかかる。
定植
春と秋が定植時期だが12月頃までならOK。
土
一般的なハーブ培養土、または草花用でOK。排水性を意識して赤玉土など3割程度ブレンドするとなお良い。
肥料
春と秋に元肥をしっかり与えておく。多くの肥料を与えると香りが弱まるので、成育が悪いなと感じる場合は2週間に一回程度、有機質の液肥がおすすめ。春からは生育が旺盛でプランターの場合は肥料切れになることもあるのでよく観察して。
日当たりと場所
日向から半日陰を好み、蒸れにくい風通しの良い場所で管理。
水やり
土の表面が乾いたら、鉢底から出るまでたっぷりと与える。乾燥と湿潤のバランスが大事なので、メリハリをつけて与えるようにして、常に湿っている状態は厳禁。
病害虫
特に目立った病害虫はないので管理しやすい。
夏に意識したいポイント
高温多湿に弱いので移動できる場合は半日陰で管理。蒸れると一気に株元が枯れるので乾燥気味で管理するようにしたい。茂りすぎている場合は切り戻しや剪定で間引いて風通しをよくして。
冬に意識したいポイント
半耐寒性で越冬は容易。水やりは控えめで土の表面が湿る程度に時々オン。寒冷地では氷点下に置くと葉を落とすが、関東以南では冬でも常緑性を保つ。マルチングなどをしておくのが良いが、軒下などで管理すれば枯れることはない。プランターの場合は屋内に入れて。11月頃には切り戻して剪定をすると冬を越しやすくなり、春先に花付きが良くなる。
収穫
基本的に収穫という意味では多量に用いることはないが、春から秋にかけて成育が旺盛ですぐに茂るため、剪定を兼ねて切り戻しを行うと良い。葉は乾燥させてストックしておくと用途が広がる。
※春か秋の終わりの冬前に株姿が乱れている場合は、大胆に切り戻しをしておくと(株下の葉を残して)勢いよく新芽が吹き出てきれいに整う。
※種はあまり出回っていないため増やしたい場合は春か秋に挿し木で増やす。
※若い葉が濃厚な芳香を放つため、適度に剪定したり葉を摘んだりしてどんどん新芽を出すと香りが楽しめる。
センテッドゼラニウムのよもやまエピソード
ローズと同じ成分を全草に含んでいるため、中性ヨーロッパでは香水の原料として栽培が開始されました。もともとはアフリカ原産で1600年ごろにオランダの商人がヨーロッパへ持ち帰り、広がったとされています。
日本に伝わったのは江戸の頃で、オランダからもたらされたと伝えられています。 ローズゼラニウムの中でも選抜種とされるのがゼラニウムブルボンと呼ばれ、日本では精油を抽出するために、1950年頃から瀬戸内海にある小豆島で試験的に栽培が始まり現在に至っています。
ローズよりも安価に精油を抽出できるため、精油も入手しやすく日本でも広く流通しています。最近では消炎作用や免疫系のバランスを整える働きも確認され、リウマチや関節炎などにローズゼラニウムの精油を含んだオイルでマッサージするという方法がおすすめされています。
ゼラニウムのキーワードはバランスで心身を中庸な状態に保つ作用が期待できるとされています。皮脂分泌からホルモンの分泌、精神の安定や消化液の分泌に至るまで、神経から各器官へと間接的に作用し、サポートしてくれます。
素晴らしい治癒力のあるハーブとして中性ヨーロッパで珍重されてきましたが、現代でより確かなエビデンスが続々発表されています。