日々の手入れや季節の節目に行う剪定作業には「敵心」と「摘蕾」「切り戻し」の3種類の方法を基本にします。うまく成長をコントロールしたり、風通しを良くして蒸れ対策や、株姿を整えたり、仕立て直しをしたいときに行う大切な作業です。
これらは収穫を兼ねて行うことが多いと言えるので「ハーブの収穫のポイント」と合わせて確認してください。 ハーブの収穫と剪定はセットです。
敵心と摘蕾
「敵心」とは、伸びた茎の先端を摘むことで、枝を切って形を整えることを「摘蕾」と言います。
根元から2~3節の脇芽や側枝が出ている中央の茎(幹)を切り取る(摘心)と、生長点が摘まれるので、それ以上茎が伸びない代わりに、側枝や脇芽に栄養が行き渡るようになります。
そこから側枝や脇芽が成長し、主幹と同じようになるので倍になる・・・というようなイメージです。
こんもりと育てたいときなど、成長姿をコントロールするためにも大事な剪定方法です。
収穫量を増やしたいときや葉の数を増やしたいときなど、その都度行う手入れ作業の一つと言えます。 ちょこっと収穫して使いたいときなどは敵心を兼ねて剪定するのが良いでしょう
特に、バジルやミント、レモンバームなどシソ科のハーブ類は、「摘心」を兼ねて収穫する頻度が多くなるはずです。
注意したいのは、あまりに上部の方で「敵心」を行うと間延びした株姿になってしまうこと。バランスを考えながら「敵心」を行うことが大切です。
葉をメインで使いたいハーブ類は、花が咲くと香りが弱まるので、花穂を摘むことも大切な日々の作業です。
※草丈を抑えたいときは、上部で摘心して、それ以上高くならないようにコントールできます。
その都度剪定して手に入れたハーブはフレッシュハーブとしてどんどん利用します。
切り戻し
「切り戻し」とは、株の根元の方から新芽を残して大胆に茎(幹)を切り取る作業です。間延びしてしまった株姿を整えるための仕立て直しとしてはもちろん、株元に日光を届けるためや風通しをよくするための間引きとしての役割もあります。
また、収穫の時に根元から刈り取るように切る作業も切り戻しの一つです。
ラベンダーやカレープラント、レモングラスなど、茎や葉を長く伸ばすタイプのハーブなどの手入れや収穫によく用いる剪定方法と言えます。 地際から10cmほどを目安にカットします。
その他のほとんんどのハーブにおいても、一気に収穫したい時はもちろん、花が終わったタイミングや、これから休眠に入る秋、これから成長していく春先などに大胆に行う作業の一つと言えます。
「切り戻し」の時に注意したいのは、特にまだ成長している最中の夏や秋などに新芽や葉を残さずに剪定してしまうことです。光合成が出来なくなり、成長が遅くなるだけでなく最悪の場合、そのまま枯れたような状態になってしまうこともあるので、適度に新芽や葉が残るように切り戻しを行うことが大切です。
■特に、タイムやラベンダー、カレープラント、セージなどの木本類(もくほんるい)に含まれる品種のものは葉を残さずに切り戻すと枯死する事が多いので気をつけます。新芽や 節を5節くらい残して切り戻すのがベストです。
夏の終わりはだいたい、ハーブ類もへたっています。株姿が乱れているものは新芽を残してしっかり切り戻して、秋の生長を促進させます。
株姿が乱れたミントも切り戻せばすっかり復活!!
梅雨時や真夏の蒸れ防止に行う剪定(間引き)
多くのハーブは地中海原産の物が多いため、日本の梅雨時や真夏は苦手です。この時期は葉も傷みやすく害虫も付きやすいので、小まめに剪定することで上手に夏を乗り越える必要があります。
上記で説明した「敵心(摘蕾)」と「切り戻しを」組み合わせて行います。 ポイントは、根元から行う「切り戻し」と、根元から2~3節のところで行う「敵心(摘蕾)」をバランスよく行うことです。
例えば、蒸れ防止を目的に切り戻しをすべての茎(幹)に行うと、根元の方から密度の高い状態で新芽が成長するので結果として蒸れから解放されないという結果に。
なので、中央の方は「敵心(摘蕾)」、外側の方は「切り戻し」など、株全体を俯瞰してランダムに間引くことが大切です。 「敵心」と「切り戻し」を上手に組み合わせて最適な蒸れ防止剪定を行いたいものです。