立夏を迎え、植物たちも成長の勢いがでてきました。この頃から意識を向けておきたいのが病害虫対策。
日頃からシンプルにできることを習慣にしておくことは大切です。
本質的なことは植物の抵抗力と土壌環境をよくしてあげるということ。
ベランダなので自然界とは間接的な関係にあります。なので、あまり物理的な対策はしていませんが、ルーチンとなっているいくつかの方法は欠かしません。
ある時はお米の磨ぎ汁を活用します。
定番の方法ですが、シンプルにお金もかけずに無駄にすることもありません。この時期からお米を研ぐときはとぎ汁をストックしておくことが多くなります。
ぬかは微生物の大好物なので、土壌の微生物の活性化を促してくれます。同時に植物にはよくない菌も減少し、微生物のバランスを健全に保ってくれます。
ぬかのパウダーを使う方法もありますが、これはやみくもに与えてしまうと微生物が爆発的に増えてしまい、窒素を使い尽くして土壌から養分がなくなります。すると逆に植物が育たなくなるということが起こります。
その点、お米のとぎ汁なら含まれるぬかも少量なので、気が付いたときにその都度与えることができます。程よいバランスで土壌環境を整えてくれます。
ある時はハーブの浸剤を活用します。
要はハーブティーなのですが、ベランダでハーブ類を育てているならやっておきたい対策の一つ。ハーブ類には多種多様のフェーノール類が含まれます。これらには抗菌作用が期待でき、植物の抵抗力をサポートすることにつながります。また、たくさんのミネラルやフィトケミカルも補給できるので植物活性剤としても使えます。
ハーブの摘心やお手入れで出た葉がらなど、その都度少しづつ取っておいて、溜まったらハーブの浸剤を作っています。
ハーブを入れて湯を沸かし、沸騰したら火から上げて10分くらい抽出します。
粗熱が取れたら別のガラスジャーなどに移して冷まします。ここで移し替えずに冷ましてしまうとせっかく抽出した多くの成分が葉に戻ってしまうので注意です。
完全に冷めたら、スプレーボトルに入れて使っています。
時には木酢液やニームオイルを活用します。
無農薬栽培には欠かせないアイテムです。ベランダでの自家栽培に農薬を使うという選択肢は避けたいので、常備しています。
木酢液にも、虫の忌避効果は期待できますが主な目的は土壌環境を健全に保つため。微生物のバランスを保ちながらさらに、代謝の促進や養分、ミネラルの吸収率もあがります。植物を健全に成長させていくための力強いサポートとなります。
1000倍に薄めて2週に1度、水やりを兼ねて土壌に与えます。さらに500倍に薄めてスプレーによる葉水は週に1度行っています。収穫しても腐りにくい生命力にあふれた果実を実らせてくれます。
ニームは虫の忌避効果をダイレクトに期待して使っています。ニームの種子から抽出されるオイルに含まれている「アザジラクチン」という成分を虫が嫌います。仮に虫がやってきても、この成分が食欲を減退させ、食害を減らすことができます。
木酢液と同じように1000倍に薄めて、水やりを兼ねて行います。週に1度程度。500倍に薄めてスプレーによる葉水も週に1度程度行っています。
木酢液とニームを組み合わせますが、これらを続けて使うのではなくて、バランスよくずらしながら使うようにします。
例えば、
週の初めに1000倍の木酢液で水やり、週の半ばに500倍のニームオイルで葉水、週の終わりに1000倍のニームオイルで水やり、次の週の初めに500倍の木酢液で葉水、というように。こんな感じのローテーションで行うとスムーズ。
天候によってはこの通りにできないこともありますが、ある程度の目安としてカレンダーなどに予定を登録して何をいつ与えたか忘れないようにしています。
さらにチンキ剤を作っておきます。
梅雨ごろから活躍してくれるチンキ剤を作っておきます。ひと月以上は抽出期間を設けたいので早めが肝心です。
チョイスした素材は、唐辛子、生姜、シソです。蒸留酒はなんでも良いですが、ボンベイサファイアというお酒はハーバリストの御用達で、たくさんのスパイスやハーブ類が漬け込まれて作られているので基材としては相乗効果を期待できます。
唐辛子や紫蘇、生姜などには殺菌や殺虫、抗菌などを期待できるアルカロイド類をアルコール抽出できます。手に入りやすい素材で負担もなく、ある程度の病気などにも対応できるので作っておくとこれからの時期は安心です。
ベランダでそんなにたくさん使わないので私は100ml~150ml程度を作ります。
材料の目安は、
蒸留酒(ボンベイサファイア)100ml~150ml
唐辛子3本
生姜1片
紫蘇3枚
分量は多少前後しても問題はないです。生姜はスライスして2日くらい天日干しすると水分が抜けて使いやすくなります。これらを遮光ビンに入れて漬け込みます。
500倍に薄めて葉水につかいますが、常用使いはせずに2週に一度程度の使用頻度。または病気や虫がついてしまった時に局所的に使います。特に梅雨ごろの空気がこもって、植物たちが代謝不足になっているときなどに。細胞の引き締めや代謝促進もかねることができます。
大切なこと
自然界は多様性を好むので、同じものを続けて使うよりも、いろんなものを交互にバリエーションをつけて与えてあげる方が健全に成長を促せます。
どんな対策をしていても、虫も病気も来るときは来ます。そのくらい緩い意識で向き合います。ただ、ここで紹介しているようなこと習慣にするようになってから、病害虫に悩まされることはほとんどありません。ベランダという小さなスペースだからこそ、そんなに多くの対策はせずとも何とかなっています。
本質的なケア、植物自体の免疫力や抵抗力、土の環境を意識することで病害虫対策も楽でシンプルになります。
極端な病害虫は多くの場合は、植物への無関心から引き起こされることがあります。日頃から気にかけてあげて、触れてあげて、観察して、虫や病気を見つけたらケアしてあげることが大切です。
人の意識や気配が植物が元気に育っていける養分ともなります。人間の意識を感じとっていない植物は抵抗力も落ちてしまいます。気にかけてあげるだけで、生き生きとしてくるのがわかります。