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コンテナ栽培における古い土の再生の仕方の基本。

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栽培の終わった土や1年~2年植物を育てた土は養分もなく、粒も細かくなって、排水性も悪くなってしまっています。雑菌や虫や古い根、ゴミなども混入しているのでそのまま新しい苗を植え付けても健全には育ちません。

だからと言って新しい土をどんどん入手して、土の量がどんどん増えてしまうのも困りもの。土は自治体によっては燃えるごみとして簡単に処分することができない場合も多いです。

そこで、土のリサイクルを行って、環境や循環を意識した自信を持てる素敵なガーデニングライフを送りたいものですね。

ほんのちょっとの手間でまた培養土として使える土に生まれ変わらせることができます。

コンテナにおける古い土の基本的な再生方法を記します。

おおまかに流れを説明すると、

  • 古い土からゴミやごろ石を取り除く。
  • 酸度調整剤を入れる。
  • 消毒をする。
  • 土壌改良と養分補給を行う。
  • 基本用土を加えて調整する。

これが土の再生の基本的な作業になります。作業スペースや持っているツールによって方法はいくつかありますが難しいことはありません。

注意するポイント、意識しておきたいポイントとしては、植物別に使用した培養土を分けて再生することが望ましいということです。一般的な花や野菜、ハーブ類などはまとめてしまっても追々、配合の調整ができますが、観葉植物や多肉植物、山野草など、より特異な性質を持たせた培養土もあるからです。出来る範囲で手間を惜しまない心構えを持っておきたいものですね。

INDEX

古い土からゴミやごろ石を取り除く作業をします。

栽培を終えたコンテナから古い土をビニールシートや大きめのタライなどに出します。

鉢底石や大きな粒のゴロ土などが入っていれば、まずはそれらを取り除いて別の容器に分けておきましょう。

次に、古い根やゴミ、枯葉など目で見てわかる大きな異物を取り除きます。

そして、粗目のふるいにかけます。取り切れなかった根やごみ、ゴロ土などを取り除きます。

数回繰り返して丁寧に行いましょう。

最後に細めのふるいにかけて、微粉状になったものは排水性を悪くさせるのである程度、取り除いた方が良いです。完璧にやろうとしなくても大体でOKです。

こんな感じに分けられました。左上の粒土は混ぜます。

※取り除いた大きな葉ガラや根などはコンポスターに入れて堆肥化すれば循環できます。

※鉢底石や、ゴロ土も熱湯消毒や日光消毒をして使えるようにしておくと良いです。

※大きめの容器にその都度、栽培の終えた土や植え替え時に出た古い土を溜めておくようにして、まとめて土の再生を行えるように準備しておくのも大切な日々のポイントです。

酸度調整と雑菌を減菌する作業をします。

酸度調整をする

古い土は酸性に傾いていることが多いので苦土石灰や有機石灰などを加えて、中和させます。特にハーブ類は酸性土壌を嫌うものが多いので重要な作業です。土5リットルに対して、15~20g程度が適当です。

※苦土石灰は肥料を混ぜる前に混ぜ込んで、1~2週間(10日前後)くらい放置した最後に肥料などを混ぜ込むようにするのが基本です。同時に入れてしまうと化学反応を起こして悪臭がする場合があるのでこの段階で苦土石灰をを加えておきます。有機石灰を使う場合は次項の土壌改良の際に入れてもOKです。

参考エントリー

※消毒は土を湿らせるので、酸度調整材を入れてセットすると消毒と酸度調整が同時にできて工程がスムーズです。

消毒する

理想的な土には有益な微生物が多く、あまり良くない雑菌は少ないものですが、古い土はそのまま使ってしまうと植物の生育を妨げてしまう病原菌が潜んでいることも考えられます。出来る限り消毒は行いたいものです。特に育ちが悪かった土はこの工程を省かない方が賢明です。

太陽熱で消毒する

日差しが強くなってくる5月頃から秋ごろまでにおすすめな方法です。

プランターや大きなバケツに土をいれて、たっぷりの水を与えてからビニールなどを被せて10日間くらい太陽の当たるところに放置します。夏場は1週間くらいで。

広いスペースが確保できるのなら、黒いゴミ袋などを使うのも効率的な消毒が行えます。

袋の中に土をいれて、全体がよく湿るように満遍なく水を入れて混ぜます。

さらに、袋を閉じてこちらも10日間ほど太陽が良く当たるところに放置します。夏場は1週間くらいでもいいでしょう。なるべく平たくしておいておくと良いです。

※冬場は凍らせることで消毒できるので、冷たい風が当たる場所に放置します。

※天日に当てる期間は目安で、日にちを多くとるに越したことはありません。

熱湯で消毒する

日差しが弱くなってくる、冬から早春にはこの方法が効率が良いです。

細かい穴を開けた大きな容器やプランターを用意します。底に不織布や麻布などを敷いて土を入れ、沸騰した90℃以上の湯をひたひたになるくらいに注ぎます。湿るくらいでは十分とは言えないので、なみなみに注ぎます。

完全な無菌状態にできるわけではないですが、好ましくない菌類はだいたい減菌できます。温度が冷めたところで、あれば微生物肥料(高品質な有機土壌改良材など)などを少量入れて、有益な微生物の増殖を狙うのも効果的です。

冬場ならそのまま放置すれば、凍結による消毒にもなるので簡単です。

※鉢底石や軽石なども同じように消毒しましょう。

消毒は、土壌改良剤によっては有益な微生物の増殖を利用できるものもあります。(善玉菌が悪玉菌を駆逐するようなイメージ)その場合は省いても大丈夫です。その都度臨機応変に対応してください。

また、熱湯消毒をする場合は土壌改良剤(堆肥など)を加える前の工程で行うのが効率的です。

土壌改良と養分補給を行います。

土壌改良材を加えます。いわゆる堆肥です。様々なものが流通していますので入手しやすいものを選んでください。有機堆肥には養分も含まれているのでそれだけでも十分と言えますが、必要に応じて油粕や米ぬか、草木灰などを加えてバランスよく、養分を補給します。

油粕はチッソ、米ぬか(ボカシ肥)はリン酸、草木灰はカリをメインに補給してくれます。これらは有機物なので分解させて養分になるまでの時間を考慮してこの段階で入れるようにします。

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ここまでが基本的な再生工程です。

まとまった有機肥料(ボカシ肥)などを使う際は、植え込みの直前で加えてもいいでしょう。

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基本用土や改良用土を加えて最後の調整をします。

ここまで来たらほぼ完成です。最後に基本用土や改良用土を加えて植物にとって最適な培養土に近づける作業をします。

これは植物の植え込みの際に行ってもいいでしょう。再生した土をストックする場合もこのタイミングです。

基本的な再生は終わっても、理想的な土になったとはまだ言えません。水やりを重ねて風化した土は粒も小さくなり、団粒構造は崩れて、排水性、保水性、通気性、保肥性は失われているのでそれらの要素を加えます。

育てる植物によっても加える用土は微妙に変わりますが、基本的には赤玉土、腐葉土、あれば燻炭などを加えます。最低限これらの用土を加えることで、上記で述べたそれぞれの性質を高めることができます。

参考比率は、再生土を5とした場合、赤玉土2割、腐葉土3割、程度です。燻炭は少量で大丈夫です。なければ加えなくてもOKですが、早く通気性を持たせたい場合は重宝する改良用土です。大雑把に考えても半分くらいは新しい基本用土が加えられていると理想的と言えます。

またケイ酸塩白土などを入れておくと根腐れ防止も発揮されグレードの高い再生土になります。

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もちろん、再生した土にはすでに、いろいろな用土が混在しているので、ある程度アバウトで大丈夫です。最初から新品の基本用土や改良用土を調合して作った培養土や流通している新品の培養土と同質というわけにはいきませんが、これで、幅広く使える基本的な培養土になります。ビニール袋などに入れて用土別にラベルを貼り、保存しておきましょう。

※再生した用土によって、加える基本用土や改良用土は変わります。

改良用土の参考エントリー

 水苔(みずごけ)の再利用も考えたい。

水苔も栽培用土として使われることが多い基本用土ですが、捨てるのは少しもったいないですよね。

全部を丸ごと再利用するのは難しいのですが、腐っていない水苔であればなるべく再利用したいものです。

水苔を利用した植物の植え替え時に、根に絡まった水苔を静かに丁寧に取り除いていきます。ピンセット等を使うと行いやすいです。さらに鉢に詰めていた水苔も取り出して一緒に水の張ったバケツやタライに入れてよく洗います。

腐ってしまって繊維質がなくなってしまったものは、手に絡みにくいのですが繊維質が残っている水苔は指に絡みついてくるので、これを取り出します。

ビニールシートなどに広げて、日光によくあてて乾燥させてから使います。

腐ってしまった水苔なども貴重な有機物なので、堆肥作りなどに活用しましょう。

番外編

有用微生物や堆肥が豊富に含まれた土壌改良材ならば、まとめておいた古い土に加えて混ぜて放置するだけで、古根や枯葉も分解し、雑菌も有用微生物によって置き換わり、そのまま培養土として使えるように土壌改良されます。(※もちろん、ごろ石やごろ土などは取り除いた方が良いです。また、放置期間をきちんと設けます。2週間~)なかなか丁寧に土の再生をする時間が取れない場合や手軽に行いたい場合は、選択肢の一つになります。ただ、土壌改良材にもいろいろあって、その全てから同じような効果を享受できるわけではないことも理解しておきたいところです。

また、これは対症療法で完璧な古土の再生方法ではないですが、小さいプランータや少ない数のコンテナ栽培、ベランダガーデンならば十分とも言えるので試してみて下さい。